クリーニング店では、洗浄処理を行った後、仕上げとしてプレスを行います。
プレスする事でかたちを整えシワを取り、綺麗に仕上がるわけです。
アイロンだけでなく専用のプレス機もございます。
ジャケットは
襟
袖
裾
ボディ
それぞれのパーツにあわせた専用マシンがあります。
特にしわになりやすい部分。
肘とか背中なんかも工夫されているんで、マシン仕上げであってもジャケットが綺麗に見えるように整えられます。
パンツも専用マシンがあります。
パンツの前後や側面のシワを取り、しっかりとセンタープレスする事で綺麗なラインを作り出します。
全部揃えると大変お高くなりますし広い設置場所も必要です。
マシンプレスが終わった後、最後に仕上げのチェックをして必要ならば手作業でスチームアイロンでの修正が加えられます。
大きなクリーニング工場では分業制なので専門のプレス担当者がいます。
100%マシン仕上げであれば・・・
担当者の違いによる仕上がり品質の差はあまりないです。
誰がやっても同じ品質で同じ点数仕上がるようにしたいからこそマシンを導入するわけです。
もちろん、慣れれば生産性はあがるでしょうが品質は均一。
設定された仕上げプログラムを使用するのみ。
そのプログラムも人の判断というより、あらかじめ用意されたパターンがあって、数種類のプログラムを変更するだけです。
具体的にはプレスする温度やスチームをあてる時間等です。
詳しく言えばもっと違いはありますが・・
全部機械任せだから、物によっては良い感じだし、物によってはいまいちって事もあると思います。
マシン仕上げの最大の利点は、生産性の向上です。
マシンは一定のスピードで仕上げ作業をこなすため、多くの衣類を効率的に処理することができます。
また、設定された仕上げプログラムに従って作業が行われるため、品質の均一性も確保されます。
ただし・・
マシン仕上げにも限界があります。
一部の特殊な衣類やデリケートな素材には、手作業での仕上げが必要な場合があります。
それは生産性が急降下しますから嫌うお店もあるでしょうね。
クリーニング店での仕上げ作業は、マシン仕上げと手作業の組み合わせが行われることが一般的ですが・・
どの部分がマシンでどの部分が手作業かなんてわかりません。
特にデリケートな衣類や高品質のスーツを依頼する場合。
熟練した担当者による100%手作業の仕上げをしてほしい方もいます。
プレスの差が仕上がりに大きく影響することを知ってるお客様です。
実はクリーニング店での仕上げ作業は非常に重要であり、特別なシミや汚れない依頼品の場合、
洗いや染み抜きの差よりも仕上げ(プレス)の差が大きいと言えます。
ただ
どのクリーニング店も高度な技術と経験を持ってプレス作業を行うって言いますよ。
うちはプレスがイマイチなんて言うはずないです。
でも実際に複数のお店に同じスーツを依頼してみたらその差は明確です。
手仕上げのプレスはクリーニング店の仕上げ作業において大きな差を生む要素です。
手仕上げは熟練した職人の技術と経験が必要であり、マシン仕上げでは再現しきれない細かな調整や仕上げを可能にします。
手仕上げのプレスでは、担当者が直接衣類を取り扱い、状態や素材に応じて適切なプレス方法を選択します。
手作業ならではの繊細なタッチや技術により、衣類のシルエットやラインを美しく整えることができます。
特に高級なスーツやデリケートな素材の衣類に対しては、手仕上げが品質や見た目の面で大きな差を生むんです。
一方、マシン仕上げでは設定されたプログラムに基づいて自動的にプレスが行われます。
手仕上げのような細かな調整や衣類への配慮は限定的です。
そのため、基本的なプレス処理においては同様の仕上がりを得ることができますが、手仕上げのような個別の配慮や技術はマシンでは再現しきれません。
どうしてクリーニング店では仕上げの良さを訴求しないのでしょう?
どの店も染み抜き自慢とは言いますが仕上げ自慢ののぼり旗は見たことありません。
染み抜きは一般的に非常に重要なプロセスです。
多くの人がクリーニング店を選ぶ際に、まず染み抜きの品質や効果に注目します。そのため、クリーニング店は染み抜きの技術や結果を訴求することが一般的になっています。
また、仕上げは衣類の見た目や品質に大きな影響を与えますが、その効果は目に見えにくい場合があります。
染み抜きの効果はシミが取れたかどうかで比較的簡単に確認できますが、仕上げの差は素材の手触りやシルエットなど細かな要素に現れるため、直接的には伝わりにくいです。
それと現代の需要の変化です。
これが個人的には最も大きいと思っています。
近のスーツは化繊(合成繊維)が混紡されていることが一般的です。
これにより、スーツの生地はしわになりにくくなり、通常の使用や持ち運びにおいても比較的簡単にケアできるようになりました。
このようなイージーケアの特性は、多くの人々にとって魅力的な要素となっています。
現代の生活スタイルでは、多忙なビジネスや出張などの機動性の高い状況でスーツを使用することが一般的です。
そのため、しわになりにくく、簡単にケアできるスーツが求められています。
化繊の利点は、その要求に応えることができます。
また、家庭で水洗いが可能なスーツもめちゃくちゃ増えています。
これにより、クリーニング店に頼まずに自宅で手軽に洗濯することができます。
これは忙しい人やクリーニングに時間やお金をかけたくない人にとって便利なオプションです。
多くの人々がクリーニング店を利用する際には、衣類が綺麗になり汚れが取れることが最優先されることが多く仕上げに関してそんな気にしないお客様が多数派となっています。
とはいえ、特定の場面や重要なイベントなどでは、従来の高品質なスーツの需要も存在します。
そうです。
今日の事例の様な表地ウール素材100%裏地キュプラ100%のスーツです。
この素材の特性を理解出来ず、化繊を使用したイージーケアのスーツと同じように家で水洗いしてしまう。
ウールは繊維の特性上、水や摩擦によって縮んだり形が崩れたりする事が避けられません。
やってしまった
その後で・・
水洗いで出来た望ましくない変化を改善してほしくてクリーニングに出した。
それでもダメで当店にご相談下さいました。
洗濯絵表示が水洗いNGとされている場合は、メーカーがスーツを水洗いに耐えうると判断していないため、家庭での水洗いは推奨されません。
クリーニングに出すことやクリーニング代にかかる費用が面倒であるという気持ちは理解できますが、ウール100%のスーツは専門的なドライクリーニングが必要です。
ちなみにドライクリーニングでは水洗いの様な悪い変化は起こりません。
だから100%マシン仕上げでも綺麗に仕上がるんです。
しかし水洗いしてしまったらそうはいかないです。
だからこそ、2件目の依頼先として選んで頂いた私が手仕上げをさせて頂いたわけです。
もう自分でスチーマー当てて修正出来る変化ではありません。
他店さんでベテランの担当者が操作したプレスマシンでも修正出来る変化ではありません。
職人の手仕上げでなければ・・
この仕上がりにはならないです。
ウール100%のスーツは化繊混紡のスーツよりメンテナンスに気を遣います。
そうしないといい状態を保てないからです。
クリーニングに出すのが面倒であることとクリーニング代がかかる事を嫌って家で水洗いしてしまうと必ずこうなりますよ。
どんな洗剤を使おうがどんな洗濯機を使おうが、洗濯機を使わないで手洗いしようが・・
水処理をするのであればこうなります。
プロがそうなる事を前提にやるウェットクリーニングとは明らかに違いますから。
ウールのスーツはお金かかるけど、高品質な素材ならでは良さも御座います。
スーツの寿命を延ばし、良い状態で長く使うためには、適切なメンテナンスが必要ですので、是非クリーニングに出すことをおすすめします。
でも
やってしまった方は・・
お気軽にご相談下さい。
喜んで修正プレスさせて頂きます。
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